チーム名にある「こてぇさんねぇなぁ」とは、三芳周辺に伝わる方言のことで「たまらないな〜」とか「いいな〜」という意味です
そもそも地方自治体の目的は「住民福祉の増進」であり「住民生活の安心・安全」を提供することです。しかし、現在、少子化による人口の減少、景気の低迷、高齢化、社会保障費の増加などにより、財政は圧迫され、地方自治体は危機に面しています。
今後、三芳町においても人口が減少する可能性があり、65歳以上の高齢者人口は増加すると予測されています。ちなみに、現在の三芳町の高齢化率は約22%、2010年度国勢調査の全国平均が23.1%ですので、ほぼ平均的に高齢化が進んでいると言えます。人口の減少により税収の減少や地域活動の低下、高齢者人口の増加により福祉費や医療費の増加が起こります。これらは、地域社会や地域経済の崩壊につながっていくものと考えられます。
平成22年度に行った「住民意識調査」では、若者の定住志向が低下していることが明らかになっており、町の産業や地域活動の担い手の減少も懸念されています。
人口が減少し、高齢化が進み、若者の町離れが進むことは、住民が望む「安心・安全な生活」の崩壊に繋がります。
そこで、「観光によるまちづくり」です。町が新たな試みとして観光施策の第1歩を踏み出すことにより、消費活動が活発化し、地域経済の活性化や雇用の創出につながります。また、町独自の魅力を、町内外にアピールすることにより、住民の町への愛着や誇りを培う効果も考えられます。
7月から9月にかけ、三芳町で活動している方々からの現場の声を把握し、現場主義に基づいた観光施策が提案できるように視察を実施しました。この視察をとおして、すでに観光的な活動が、様々な形で行われていることや、その活動に取り組まれている方々が、町の歴史や文化を大切にし、観光資源を育んでいることを感じました。
この視察研究を終え、観光のまちづくりを考える上での、SWOT分析を行いました。SWOT分析とは、目標を達成するために、現状を整理・把握する手法の一つで、強み・弱み・機会・脅威を整理・分類するものです。視察や資料研究から明らかになった、三芳町を取り巻く様々な要素を分析したものが下記の表です。
このように、三芳町の観光について現況を把握したうえで、「強み」を最大限に生かしながら「弱み」を克服していく方法として「情報発信」「観光インフラ整備」「資源のブランド力アップ」について政策提言をします。
SWOT分析の弱みとして、「宣伝・広報力が弱い」ということと「観光資源の認知度が低い」ということがあげられます。これを解決するためには、情報発信の強化が必要であると考えました。
国内旅行に関する情報の入手方法を調べたところ、圧倒的にインターネットが、次にガイドブックから情報を得ていることが判明しました。
ホームページについて、「町やパサール三芳などのホームページはすでにあるじゃかないか…」と思われるかもしれません。しかし三芳町の「イベント」や「みどころ」など、観光について調べたとき、情報提供者が複数存在するため、欲しい情報が見つけにくく、また、情報が一方通行となっているのが現状です。
それを、観光に特化したホームページを立ち上げることによって観光情報を一元化します。情報がほしい人は、そのホームページに行けば全ての情報を得ることができ、情報を発信したい人は、その情報をホームページに掲載できるようにします。また、住民や観光客が参加できる楽しいホームページにしていきたいと考えます。
目指す観光ホームページのイメージですが、小江戸川越観光協会では、観光の要素である「見る」「食べる」「買う」「イベント」のすべての情報が観光ホームページに網羅されています。また、滋賀県観光情報では、一般の方が写真で撮って投稿することができ、旬な情報を住民や観光客からも発信することができます。
ホームページ構築のスケジュールについては、下記のとおりです。
観光ホームページに期待する効果として、観光情報の一元化による情報発信力の強化が挙げられます。また、情報提供者と連携し、常時更新することによって、常に最新情報の提供ができます。そして、住民や観光客が参加できるホームページにすることによって、アクセス数の増加が期待できます。つまり、ついつい見たくなる、三芳の「旬」を届けるホームページとなります。
現在、三芳町で発行しているパンフレットとして、町全体を紹介するもの、歴史・文化を紹介するもの、県や他市町村との連携で町を紹介するものがあります。今あげたものは、全て所管する担当課が異なっており、配布方法もバラバラです。観光に特化した情報を掲載し、季節のみどころや散策ルートなど「楽しみ方」を提供したものはこれまでありませんでした。
ガイドブックにどのようなものを盛り込むかと言うと、情報提供者からの観光情報はもちろんのこと、四季の祭りや行事、飲食店の紹介、おすすめ散策ルート、割引クーポンなどを入れ、三芳の「楽しみ方」を提案していきたいと思います。配布方法については、全戸配布はもちろん、公共施設や商業施設での配布を考えています。
ガイドブックのイメージですが、「持ち運びやすい」ということで、A5又はB5版くらいのサイズを、また「その観光スポットに行きたくなる」デザインにしたいと考えています。例えば、北本市が発行した「るるぶ北本」。大手観光雑誌のネームバリューを活かした御当地ガイドマップです。また、青梅市が発行する「ぶらり青梅宿」。こちらは、青梅宿が昭和30年代の風景を残していることから、ガイドブックもレトロ調に構成されています。三芳町が発行するガイドブックも、デザインも重視していかなければなりません。
ガイドブック制作については、下記のとおりです。
ガイドブック制作の期待と効果ですが、町の観光情報が網羅でき、情報が集約できます。また、携帯性とデザイン性に優れていることで、便利で気軽に持ち運べることができ、楽しみ方を提案することにより、三芳に行ってみたくなるという効果が生まれます。つまり、ガイドブックによって、三芳をより楽しむことができるようになるのです。
三芳町の現状として、歴史、文化的なポテンシャルはあるものの、観光資源を結ぶ交通機関が脆弱であり、経済的な相乗効果が乏しいこと、また、観光を楽しめる環境や拠点が整備されていないことがあげられます。
さらに、町内に駅は無く、交通網としてのライフバス以外に公共交通の利便性が低い。観光産業を考えるときには、町の特色を活かした観光拠点とインフラの整備が必要であり、町の活性化にもつながると考えられます。
文化会館(コピスみよし)の多目的室(旧レストランスペース)を活用した観光拠点(アンテナショップ)の設置についてです。既存施設を利用することで設備投資を大幅に抑制でき、また、駐車スペースが広く確保され、ライフバスが比較的多く停留することから、役場周辺に観光拠点の設置を考えました。
実施事業は、
経費については、「ハーモニー」の現在の喫茶事業に加え、観光事業に対応するため1名程度の増員が必要です。就労時間や勤務日数によって多少の増減はあるものの、年間100万円程度の人件費、また、コピスみよしの多目的室活用については、目的外利用、観光パンフレットの常設に伴う使用料として、年間140万円程度の経費が見込まれます。
これらの取り組みにより、福祉施策、観光施策、農業施策の3つが、新たな価値を加え合うことによって、他に類を見ない相乗効果が期待できます。
また、役場施設やその周辺を活用することで、役場自体が賑わいのある場となり、交流、情報交換の場としてのプラットホーム的な役割が生まれ、さらに、土日利用の多い文化会館や運動公園、総合体育館の利用者の増加により、ハーモニー利用客の増加が見込まれます。
地域住民の足としても定着し、既存の交通インフラであるライフバスを観光案内に活用することが有用です。
主な取組みは、
期待効果として、既存のライフバスを観光案内に活用することで、即時性があり、かつ取組みやすく、地域住民の足として定着しているバスを利用することで、身近な観光案内ができるということが挙げられます。バスのラッピング広告は、移動式の広告にすることで、より多くの人の目に留まり、1日乗り降り自由券により、観光客は多くの観光箇所に移動ができ、さらに、町内の商業施設や飲食店で割引券を利用することにより、地元産業の活性化にもつながると考えられます。
観光インフラ整備には、どうしても中・長期的な整備時間がかかります。今後考えられる方向性、これからの構想を一覧で提案します。
視察などを通して見えてきた観光の担い手・受け皿が少ない、観光資源の認知度が低い、突出したブランド力を持つ観光資源がない、という「弱み」の部分と、三芳町には観光につながる資源がたくさんあり、地域を盛り上げようとする団体・個人がいるという「強み」の部分から3つの施策を提言します。
観光のまちづくりを推進する上で、観光の担い手の存在は必要不可欠です。観光客に対して、観光資源を案内することは、町の魅力をより深く知ってもらい、愛着を持ってもらうためにも重要なポイントです。そこで、三芳町の観光ガイドを行う「みよし案内人」を発足させます。
しかし、ただ単に観光ガイドを作っただけでは、三芳に愛着を持つ人を増やすことは難しいため、まずはその裾野を広げることを目的に「みよし検定」を実施します。
みよしを知ってもらい、みよしに愛着を持ってもらう。これがこの施策の狙いです。
みよし検定は、1級から4級までの検定試験と親子クイズで構成します。親子クイズとは、親子一緒に本を調べながら回答するものです。検定と並行して「体験学習講座」を数種類用意し、2級以上の受験には2講座以上の受講修了を必要とし、「みよし検定」を受験しながら、様々な体験をすることで、三芳町に対してさらなる愛着をもってもらい、「みよし案内人」に必要とされる知識や経験も学んでもらいます。
この検定のもうひとつの特徴は、合格証を持っている方が町内の商店などで優待が受けられるということです。特典は級が上がるごとにグレードアップします。
そして、みよし検定2級合格者をみよし案内人として認定し、みよし案内人が発足します。
スケジュール等については下記のとおりです。
この施策により期待される効果としては、みよし検定を実施することにより、三芳を広く知るきっかけ作りになります。また、検定合格者が特典を利用することにより、町内店舗の売り上げ増、施設利用客増も図れます。
そして「みよし案内人」が発足することにより、観光の担い手が生まれることはもちろん「三芳を語る人材」を育成できるという重要な効果があります。
町の観光資源として、農業が大きなキーワードのひとつであり、これを踏まえ「三芳町を体験する」というポイントで考えると多くの施策が考えられます。
現在、三芳町で生産されている農産物は多数ありますが、なかでも「富のいも」として知られるさつまいもは、どうしても「川越」というイメージが強く、生産地である三芳町の存在は薄いのが現状です。
この事業は、「三芳のお土産といえばこれ」という一品を商品化することを目的としています。商品化が大前提のため、町内のお菓子メーカーにも協力をいただき、住民参加者と一緒に「富のいも」を使ったお菓子作り教室を行います。ただし、単なる商品開発ではなく、お菓子メーカー担当者を含む参加者は、落ち葉掃きからイモの収穫まで、さつまいも作りの一年間を体験しながらお菓子作りをすることが、大きなポイントです。
お菓子作り教室で出来上がった作品を産業祭などでコンテストを行い、優勝した作品を商品化します。また、有名パティシエも実行委員の一人とし、審査員や商品化の監修を行ってもらいます。
スケジュールについては、下記のとおりです。
期待される効果としては、「富のいも」のブランド力アップが挙げられます。また、さつまいも作りの一年間を体験してもらうことで、参加者がみよしの歴史や農業への理解を深めることも、重要な効果といえます。
三芳町に本拠地を置くハンドボールチームに、「大崎オーソル」というチームがあります。日本一にも輝くチームでありながら、町内での知名度が高いとは言えないのが現状です。
そこで、町が計画的に大崎オーソルと「ハンドボールのまちづくり」に取り組み、町外へのアピール、さらに住民の健康増進を図っていきたいと考えています。
町の特産としてのハンドボールとするために、核となるのが5つの事業です。
ハンドボールを実際にプレイできる人を対象にしたのがピンクの円の部分にかかる事業です。ハンドボール教室は、大崎オーソルの協力により、現在も公民館や学校で行われていますが、この事業を継続・拡充することで町立中学校にハンドボール部をつくることを目的に進めていきます。
青い円は、プレイをできない人を対象とした事業です。ピンク円の事業が、中学生などをはじめとする比較的若い世代対象であるのに対し、こちらは幅広い年代を対象としています。アンテナショップ開設や応援団の設立、ツアーの実施により、町内はもちろん、町外からの訪問者の増加も期待できます。
実施スケジュールは以下のとおりです。
中学校での部の創設に2年間の準備期間を設けているのは、
機運の高揚や、ハンドボール部の顧問となる教員を確保するためです。
これらの事業を実施することにより、町に対する愛着・誇りの育成に繋がると考えられます。特にアンテナショップやツアーの実施で町内経済の活性化が期待されます。
また、ハンドボール部を創設することで、住民の健康増進はもとより、オリンピック選手の輩出なども期待されます。
私たちが提言する「情報発信」「観光インフラ整備」「資源のブランド力アップ」、この3つ政策を実施することにより、様々な効果が期待されます。しかし、当然のことながら、この3つの政策はそれぞれ独立したものではなく、お互いに強い関係性と連動性を持っています。
このつながりは他の政策を刺激し、さらにより良い政策へ発展させていくという相乗効果を生み出すと考えられます。すべてを一度に実現することは難しいですが、それぞれの施策を一歩ずつ前進させることにより、町の課題を解決し、町の魅力のアップさせ、より良いまちづくりを推進できると考えます。
三芳に暮らす、三芳を訪れるみなさん全員が「こてぇさんねぇなぁ」「たまらないほどいいなぁ〜みよし!」と心の底から言える町を目指して、観光政策を進めてまいりたいと考えています。
政策推進室/政策推進担当
電話:049-258-0019(内線:422~424) / FAX:049-274-1055
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