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三芳町

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みどり保全・活用PT

みどりの保全・活用

【研究の目的】

みどり保全・活用PTでは、三芳町における緑の保全、緑化の推進のために

  1. 町の現状を分析
  2. 三芳町のあるべき姿、ビジョンの構想と施策を提言

することを目的としています。
今回の研究では、公共緑地だけでなく、平地林などの民有地、農地や川も含めています。

町では、平成17年に緑の基本計画が策定されているがこれに捉われず、研究チームとして、これからの三芳町の緑の在り方、市民参加、対外的なイメージアップなど、夢のある提言を目指しています。

【現状】

地目別土地面積

都心からの三芳町の距離というのは、大都市の横浜市と同じ程度です。そして、右の表は、三芳町と近隣市町村の地目別の土地の面積を示した表です。

山林の面積の比率は、近隣の市町村と比較すると抜きん出ていることがわかります。
都心に近いにも関わらず、里地里山に出会える。これこそが、三芳町最大の強みです。

このような状況の中で、住民の人は町の緑についてどのように考えているでしょうか。
平成15年に、町民2000人を対象に行われた意識調査の結果です。

 

Q.あなたが残したいと思うみどりは何ですか

半数以上の方々が、武蔵野の里山風景、歴史的景観の緑を残したいと考えています。

Q.あなたは里山や農地などの「自然のみどり」の保全についてどのようにしていくべきだと思いますか

保全については、およそ4割ほどの人が「積極的に保全」、3割ほどの人が「計画的に保全」と回答しています。合計7割ほどの方が、何かしらの施策を講じて三芳町の緑を守っていくべきだと考えています。

次に、三芳町の緑の変化について見ていきたいと思います。
明治19年、今から120年ほど前に作られた迅速図という地図を基にして、当時の山林部分を抽出し、緑色で塗ったものです。

迅速図にみる三芳の緑被地(明治19年)

広範囲にわたって、山林が残っていたということが見て取れます。
当時の山林の面積は、町内の30%を占めており武蔵野の風景が当時あったと思われます。

現在の状態は下図のとおりです。

土地利用図から見る三芳のみどりの緑被地(現在)

緑が減っていることが見て取れます。
しかしながら、上富地域については、柳沢吉保によって開拓された「三富新田」という歴史的景観が残っていることがわかります。なんとしても、我々は、この緑を守っていかなくてはならないと考えます。

続いて、統計で緑の変化を見ていきます。こちらは、土地の地目別の変化をグラフにしたものです。

地目別土地利用に見る三芳のみどりの変遷

山林は、明治40年ごろから減少が始まっています。当時は、戦中戦後の食糧難の時代ということで、食糧確保のため、山林を切り開いて畑を増やしていったということが伺えます。次の大きな変化は、昭和30年代から始まる高度経済成長期です。昭和44年には、三芳の人口は1万人を超え、藤久保地域の宅地開発が進みました。当然ながら、その分の山林の面積や、畑の面積は減少していきました。昭和60年には、関越自動車道の完全開通により、それまで開発が進んでいなかった上富や北永井の山林に、流通関係の事業所や倉庫が進出してきました。
山林の減少というのは、現在も続いており、平成24年時点では山林の面積はおよそ150万平方メートル、町の10%程度にまで減ってしまいました。

【三芳町の課題】

このような三芳町のみどりの現状を踏まえ、私たちが考える三芳町の課題は次のことが挙げられます。

  • みどりが年々減少し続けている
  • 新しい住民が増え、町全体として緑への愛着が薄れてきている
  • 首都圏30キロメートル圏内の三芳のみどりの価値のアピール

更に詳細な分析を進めるため、

  • 多福寺を中心とした三富の地割が残る上富地域
  • 農地と事業所が混在している北永井地域
  • 市街化が進み、著しく緑が減少している藤久保・みよし台地域
  • 工業用地に残る、貴重な潤いのある竹間沢こぶしの里の崖線林が残る竹間沢地域

の4つの地域に分けて調査研究を進めていきました。

【町内地域別の課題】

地域別の課題をあげていきます。

上富地域

相続時の税負担が挙げられます。農業を続けていくために雑木林を他の事業用途に転用することも少なくありません。他にも、維持管理まで手が回らず、荒れ果てた雑木林も多く、このような緑をどのように保全していくかが課題です。

北永井地域

緑と工場、倉庫等の併存をいかに図るかが課題です。この地域は、関越自動車道の完全開通に伴い、流通事業等が進出し、多くの緑が失われました。この地域に残されたわずかな緑を保全することはもちろん、既にできている倉庫などにおいて緑化を進め、修景をすること。また、これからの開発に対して緑化の義務付けをする方法など、緑を創出する政策等が課題です。

藤久保・みよし台地域

市街地の個性的な花やみどりの創出が課題です。緑地公園周辺の緑や、唐沢公園周辺の保全樹林は保存し、沿道を中心に、並木道やフラワーロードなど彩りある街並みづくりが必要です。

竹間沢地域

埼玉県ふるさと緑の森にも指定された「こぶしの里」に、貴重な崖線林が残されています。湧水も流れ、町内では数少ない水辺のある場所となっています。このこぶしの里の魅力を更に引き出すため、保全・整備をしていくことが課題です。

個別の課題をあげましたが、日本政府はCOP10において、世界に里山イニシアティブを提案しています。
20世紀は農村から都市化したのに対して、21世紀は 都市から農村化(自然化)を復元するという考えもあります。
そして三芳町のみどりは、三富新田地割にみる文化的景観である農地と平地林が存在し、町民から愛され、誇りを持てるモノです。また都市部から求められる三芳のみどりのポテンシャルは大変高いものです。

【里地里山に出会えるまち三芳町】

三芳町緑の将来像

だからこそ、私達研究チームでは『里地里山に出会えるまち三芳町』 というコンセプトを提案します。

「里地里山と出会えるまち三芳町」を具体化するために、次のような『緑の将来像』を提案します。
それぞれの4つの地域を一つにし、一体感のある景観を造ります。そこで地域を結ぶ緑の軸として、現在もあります上富地域には三芳らしいケヤキ並木を、北永井地域には豊かに香るキンモクセイ並木、藤久保・みよし台地域は伝統を継承する川越街道のアカマツ並木、竹間沢のこぶしの里へ続くように、こぶしの花並木と、守る並木と新たにつくる並木の軸で町を繋ぎます。

里の自然は身近で親しみやすく、現代人が求めるふるさとを感じさせます。
一年を通して、四季を感じられる景観ということで、上富を三芳の里山、北永井を三芳の里地、藤久保・みよし台を彩りの街に、竹間沢を三芳の里川と「4つの里」を将来像として提案します。

 

【政策提案】

それでは、現在残っているみどりを守るため、既存の制度を活用した政策を提案します。
一つ目が特別緑地保全地区の指定による保全です。この制度は、都市において自然的環境を形成している緑地を都市計画に定め、開発行為等の許可制により規制し、現状凍結的に保全していくものです。指定にあたり、緑地面積10ヘクタール未満は町の決定で指定が可能となります。指定を受けると建物の新築、木の伐採、廃棄物の堆積など緑地の保全上支障があると思われる行為はできませんが、メリットとて、山林、原野及び立木については8割評価減、固定資産税・都市計画税が最大2分の1まで評価減、さらに、維持管理についても管理協定により保全団体等の協力により軽減されます。
三芳における候補地として、こぶしの里が有力ではないかと考えます。現在、こぶしの里は約8,000平方メートルを借地として土地所有者に借受けています。この制度により町も所有者もメリットがあると考えます。
しかし、この制度の重要なポイントとして、土地所有者が、指定による制限で、土地の利用に支障を来す場合、所有者からの買取り申出ができるとなっています。そのため、指定にあたり土地の取得費用を考えなくてはなりません。
その財源として、町の緑ぬくもり基金、二つ目に、国補助金として社会資本整備総合交付金の緑地保全事業の活用などが考えられます。
もう一つの制度としまして、トラスト運動による保全があります。

 

トラスト地の申請 /

現在までに、埼玉県内で11か所がトラスト保全地に指定され、管理されています。
トラスト地に認定されることは大変難しいことなので、さらなる保全・整備が必要です。

既存の制度だけでは、三芳町の制度を守ることはできません。ここで、町独自の制度を提案します。

まず一つ目は、みどりの「わ」PROJECT。もっと緑を見て、体験して、緑に関心を持ってもらう、みどりの普及啓発政策です。具体的な内容については、下記のとおりです。

MMM PROJECT

「香り豊かな花いっぱい運動」については、現在、藤久保地域や竹間沢で、一部の団体さんが活動していますが、少人数でも助成の対象とすることでこのような活動が地域ごとに広がることを目指します。

みよしみどりの「わ」フェスタ

どのような形であれ、一人でも多くの方に参加していただけるような楽しいイベントを開催し、町の緑について考えていただく機会となれば良いと考えます。これにより、地域のコミュニティの拡充にも繋がると思います。最初は、子どもフェスティバルや産業祭と同時に開催するといった小規模な形で良いと考えます。

二つ目の政策提言は、みんなで守るみどり(MMM)プロジェクトです。企業を含め、地域全体でみどりを保全していくものです。この制度により、維持管理に悩む所有者を支援し、町全体として緑を有効活用できます。また企業を通して、町民からも親しみのある緑となり保全しやすくなるというメリットがあります。

MMM PROJECT2

このプロジェクトの協賛企業は1社に限定せず、期間についても柔軟に1年から複数年と、緑地所有者との協議も重要になります。事業所が多くある三芳町では、今、企業も重要なパートナーになるのではないでしょうか。

倉庫・資材置き場等の修景の義務化

一方で、緑の変遷でも触れましたが、事業所の進出が町の緑の減少要因となっているのも事実です。そこで、倉庫や資材置き場をはじめとする企業の開発に対する修景の義務化を提案します。

企業の修景の義務化ということで、数%を緑化しなくてはならないものとするという制度です。既に建築されている建物についても、併せて緑化による修景を働きかけていきます。具体的には、開発行為をするに当たり緑化計画書の提出と、緑化完了後には完了書を提出。届出をしない、また届出をしたが基準を守らないものに対しては、町から必要な措置を講ずることができるものとします。

 

具体的な基準は、下記の通りとなります。

三芳町みどりの保護育成及び活用に関する条例施行規則

規制基準の面積を500平方メートル以上にしたのは、小さな開発行為に関しても規制をかけたいという考えからです。また、工場は「工場立地法」に緑化が義務付けられていますが、三芳町に多く建築されている倉庫などに対しては緑化規制はありません。このような現状から、早急に独自緑地規制をする必要があると考えました。

続きまして、子どもの環境教育に関する提言、「みよしっこ学習プロジェクト」です。

みよしっ子学習PROJECT

更地を借りて、1から森づくりをするも良し、雑木林を借りて維持管理するも良し、年間を通して森林の維持管理を経験、学習することで、持続可能な社会づくりに貢献する人材の育成に繋がります。更には、環境にも優しい特色ある三芳教育をアピールし、新たな住民層へアピールする狙いもあります。
学校林と学校菜園をリンクさせ、緑地、農業、環境、地産地消など、様々な側面から町の特色である町の特色である循環型農業を体験するなど、子どもへの環境教育を行うと同時に、町のみどりを、まるで学校の校庭のように、あるのが当然の学習教材として位置づけることで永続的に保全していくねらいもあります。

ここまで、多くの提言を述べてきましたが、緑の政策を有効的に行うために「みよしぬくもりの町づくり協議会」を設置します。町民の緑のまちづくりに対する意見を反映させる地区レベルの協議がなくては、より良い政策は実現できません。そこで協議会が必要となります。

三芳ぬくもりのまちづくり協議会の設置 /

こういった方々をコーディネート、また、有効的に動いていただけるように政策推進等を行うことが、行政の役割と考えます。
また、子どもを巻き込んで地域ぐるみで緑化をするということが、最も未来に向かって皆さんが一致団結してくれるのではないかと考えています。団体については、緑化に興味がない団体についても関連をもって活動してもらえるのが理想です。

ここまで述べた緑地の保全、緑化に関する施策は、これ自体が目的とは考えていません。町の緑の保全、緑化をまちづくりの一環として捉え、三芳町に柔軟に政策をフィッティングさせ、これらの提言を実行することで、緑の将来像にも掲げた「里地・里山に出会えるまち」として、町民・町外の方から愛され、元気な町づくりができると考えます。

 

 

お問い合わせ先

政策推進室/政策推進担当
電話:049-258-0019(内線:422~424) / FAX:049-274-1055
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