そもそも、三芳町には町独自の公共交通というものがありません。今現在も、民間によって運営されているバスが走っているだけです。そのため、「住民の足の確保」という目的で、町ではライフバスに赤字補填として2,400万円を限度に補助金を出し、高齢者の方や障がい者の方へのバス券・タクシー券の配布を行っています。
また、現在、三芳町には公共交通に関する「マスタープラン」というものがありません。
マスタープランとは、いわゆる、その課題に対して調査し、具体的施策や方向性、今後の計画を示していくものです。これが今までなかったということは、公共交通については、具体的な施策が今の段階で何もないということです。
1つは「社会的背景」として、高齢社会の到来が挙げられます。昨年6月の時点で、町民の5人に1人が高齢者であり、この比率は今後も増加傾向にあります。高齢者の方が増えるということは、その分、自力で移動するのが困難になる人が増える、というわけで、そういった人たちの移動手段が不足します。つまり、必然的に利便性の高い公共交通システムが必要になるというわけです。
2つ目、3つ目は、「町民の意識的背景」として、実際住んでいらっしゃる皆さんからの要望が込められた住民請願や、議会での一般質問、以前に町内で行われた住民意識調査というものがあります。「住民請願や議会での一般質問」というのは、「住民の皆さんから、公共交通について要望がたくさんありますよ」ということです。実際に、「住民請願」という形で、平成20年に藤久保地区、北永井地区からバスの増便について要望がでています。
また、町の議会で定期的に行われる定例会の中に、一般質問というものがあります。過去2年の一般質問では、ほぼ毎回、公共交通(デマンド交通、バスの新路線、高齢者や障がい者など交通弱者等)について数件の質疑がなされています。最近行われた平成22年の「住民意識調査」結果は下記のとおりです。
「三芳町から引っ越したい」と思っている人に対して、その理由を聞いたところ、圧倒的に「交通が不便だから」という回答が多くでています
「三芳町を住みやすくするためには何が必要だと思いますか?」という問いにも、「バスなど交通網の整備に力を入れるべき」という結果がでています
今後は、「三芳町の公共交通に何が必要なのか」、「町民が何を求めているのか」、「この町にはどんなシステムが合っているのか」本当に具体的にどうしていくのかを考え、見極めていく必要があります。
そして、今回の政策提言に関しては、今あるシステムに対する改善点については除外して考えています。「今後、町内の公共交通」について考えていくうえで、「今あるバスシステム」にだけとらわれるのではなく、もっと広い視点から「三芳町の公共交通システムはどうあるべきか」を見ていきたいと思っています。
もちろん将来的には、「現在あるバスがこのままでいいのか」ということは無視できないことであり、検討しなければならないことです。しかし、今回の提言では、「もう少し広い視野で、三芳町に必要な公共交通システムを、根本から考えていく」ということを前提にしています。
現在町内で使われている交通システムとしては、ふじみ野市よりを走っている東武バス、上富地域などを走る、所沢や大宮方面行きの西武バス、町内の主なバスとなっているライフバスといった3種類のバスがあります。
しかし、地図を見ると分かるように
比較的、広い道路を中心にバスが走っており、藤久保地区の一部や、竹間沢など、バスが走っていない地域もあります。
この現状から見えてきた課題は下記の3点です。
つまり、それだけたくさんの人が住んでいる地域があるにも関わらず、そこに使える交通システムが走っていないと言えます。
こういった課題を解決するため、私たちは具体的な調査へと入りました。
≪実際に交通機関を利用できる住民はどれくらいいるのか≫
庁内バス停すべての半径200メートル円内の世帯数を数えました。半径200メートルにしたのは、不動産売買では80メートル/分ということから、高齢者でも歩ける距離を考えて決めました。
平成23年6月末 全世帯15,529世帯のうち6,789世帯(43.7%)が利用可能
公共交通を考えるなら、最低でも利用可能世帯を50%以上に増やす必要があります。
区域設定は
以上より、市街地(人口が多い地域)に公共交通システムが入れば、交通利用可能世帯が格段に向上するとの仮定のもと、赤く記した地域の現地調査を行いました。
以上より、藤久保第2,3,6区において、アンケートを実施しました。
地域を絞り込んだところで、地域の方たちからの生の声を聞く必要があります。住民にとって、本当に役立つ公共交通システムを提言するために必須のアンケートです。高齢者の方などを考えるとき、公共交通システムの緊急性、必要性は高いのですが、導入したら長く使い続けるものです。広く意見を聞くため、対象年齢を20歳以上とし、2週間をかけて行いました。
アンケートは1月実施のため、単純集計の段階です。アンケートを実施した藤久保第2,3,6区は、買い物にも、病院へも、駅へも近く、公共施設も身近にある利便性が高い地域です。その地区で、お金を払ってでも公共交通を利用するとの多くの回答がありました。
今後、300枚を超える自由記述やクロス集計などで、今回のアンケート調査を分析します。そのうえで、先進地の視察など、さらに検討を重ね地域に合った公共交通システムの提言を行っていきたいと考えています。
政策推進室/政策推進担当
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